新機能「窓サッシの性能比較(β版)」をリリースしました。
当記事では、本機能のリリースの目的や使い方について解説します。
■「窓サッシの性能比較(β版)」の目的
窓はサッシとガラスを組合せで構成されていますが、平成23年より窓の性能はサッシとガラスを組合せた「窓ラベル」として性能が表示されています。
参考:窓等の断熱性能表示制度が変わります(YKK-AP社webサイト)
そこで、trussでもサッシとガラスを組合わせた状態で窓の性能を比較するグラフを作りたかったのですが、引違い窓やすべり出し窓といった窓の種類、窓枠の寸法、樹脂やアルミといったサッシの材質、複層やLow-eなどのガラスの種類など、条件が非常に多岐に渡るため、なかなかメーカーを横断した比較対照群を作るのが難しい状況でした。
今回提供する「窓サッシの性能比較(β版)」では、窓の種類ごとに共通の窓枠寸法に限定することで異なるメーカーや製品シリーズの性能を出来る限り同じ水準で比較することを目指しました。
■利用手順1:窓の種類を選択する
まずは、窓の種類を選択します。今回trussで用意した窓の種類と共通の寸法は次のようになります。
- 引違い窓 2枚建て(窓タイプ):W 1,690 x H 970
- 引違い窓 2枚建て(テラスタイプ):W 1,690 x H 2,030
- 引違い窓 3枚建て(テラスタイプ):W 2,600 x H 2,030
- 引違い窓 4枚建て(テラスタイプ):W 2,600 x H 2,030
- 片引き窓:W 1,690 x H 970
- FIX窓:W 780 x H 970
- 縦すべり出し窓(カムラッチ):W 640 x H 970
- 縦すべり出し窓(オペレーター):W 640 x H 970
- 縦すべり出し窓(グレモン):W 640 x H 970
- 横すべり出し窓(カムラッチ):W 780 x H 570
- 横すべり出し窓(オペレーター):W 780 x H 570
- 横すべり出し窓(グレモン):W 780 x H 570
- 外倒し窓:W 780 x H 770
- 内倒し窓:W 780 x H 770
- ドレーキップ窓:W 780 x H 970
- 高所用換気窓:W 640 x H 770
- 上げ下げ窓:W 780 x H 970
- オーニング窓:W 780 x H 970
- 折りたたみ窓:W 1,690 x H 2,030
■利用手順2:グラフ軸に使用する性能値の種類と各種絞り込み条件を指定する
次に、グラフ軸に使用する性能値を次の中から決めます。
- 製品の価格
- 熱貫流率
- 日射熱取得率
各窓の性能値の算出には、一般社団法人 リビングアメニティ協会さまが提供している窓の熱性能評価プログラム「Wind-Eye」を利用しています。
また、必要があれば製品を絞り込むための条件を指定します(グラフ表示後に変更できます)。絞り込み条件は次のような物があります。
- 防火設備
- フレーム:アルミ、アルミ樹脂複合、樹脂など
- ガラス :Low-E複層、Low-Eトリプルなど
- スペーサーの種類
- 複層ガラスのガスの有無
■手順3:グラフ画面で確認する
例として、「引違い窓 2枚建て(窓タイプ)」の「防火設備ではない」窓71製品を、縦軸に価格、横軸に熱貫流率を設定してグラフにプロットしてみました。下のリストのサッシ寸法が「W 1,690 x H 970」で統一されているのが分かるかと思います。
このグラフから熱貫流率が大きい(=熱を通しやすい)製品ほど価格が安く、熱貫流率が小さい(=熱を通しにくい)製品ほど価格が高いという、反比例のグラフになっているのが分かるかと思います。
左上の価格も熱貫流率性能が高い製品はLIXIL社の「サーモスX」シリーズで、Low-Eトリプルガラスを利用しているため価格が高くなっています。
また、この中で最も熱貫流率が小さい製品はYKK AP社の「APW330」シリーズで、熱貫流率が1.16W/(㎡K)しかありません。最も熱貫流率が大きい製品で3.98W/(㎡K)なので、比較すると1/3〜1/4ほどの熱貫流率性能を持つ商品だということが分かります。
今回用意した窓枠寸法は固定値のため実際に利用したい窓枠寸法とは異なるかもしれません。
しかし、このように同じ窓の種類・同じ窓枠寸法で性能を比較することができるため、窓製品のシリーズを比較するうえで一つの目安として設計者のみなさまに利用して頂ければ幸いです。
2017-12-05 at 10:33
使いやすくて良いと思います。
ついでに窓種ごとの製作可能寸法バージョンもあると最高です
2017-12-05 at 11:52
equipさま
コメントありがとうございます。
窓枠の製作可能寸法もぜひシステム化したいと検討しています。
ガラスの耐風圧など複雑な条件が絡み合うためなかなか一筋縄ではいかないのですが、なんとか実現できればと思います。