耐水性のある下地ボード (合板編) truss

以前の「多湿、水濡れの恐れのある場所に使う下地ボード」の記事では、trussを使って各建材メーカーがどういった種類や厚みの製品をつくっていて、設計価格の分布がどういった感じかをみてきました。

truss では合板についてまだ情報を掲載していません。そこで、日本合板工業組合連合会のHPから「合板の耐水性」について調べてみたいと思います。

 

日合連の「資料」のページ

 

まず、日本合板工業組合連合会のHPの「資料」のページをみてみます。

・中層・大規模木造建築物への合板利用マニュアル Ver.2

・厚物合板屋根の手引き Ver.2

・木のはなし

合板のはなし

・構造用合板の手引き

・合板耐力壁マニュアル

・ネダノンマニュアル Ver.8

・ネダノンマニュアル 枠組壁工法仕様

・厚さ12mm国産構造用合板 木造軸組構法

・厚さ12mm国産構造用合板 枠組壁工法

・間伐材等国産材を使用したコンクリート型枠用合板の活用パンフレット

・JAS防虫処理合板

・各種合板への断熱材塗料を塗布した省エネ資材の開発とデータ収集 (解説版)

といった資料がPDFで公開されています。

とてもためになりそうな資料ばかりですね。

合板のはなし

 

このなかの「合板のはなし」に、「合板の耐水性」という項目があります。少し引用してみます。

構造用合板の耐水性(接着耐久性)については大きな誤解があります。それは時間が経つと接着剤が剝がれてしまうので住宅の重要な部分には使うべきではないという意見です。合板はベニヤ(単板)を接着剤で貼り合わせて製造しますが、接着剤の耐水性が低いと、湿気の多い場所や雨に当たる場所ではベニヤ(単板)が剝がれてしまうことがあります。実際、古い家を解体する際に、台所などでこのような合板を見かけた方もいるかもしれません。

合板の製造に用いられる接着剤は合板の種類によって異なります。通常の室内環境で使用される家具用や造作用の合板には一般的に2類、断続的に湿潤状態となる場所(環境)において使用する構造用合板には1類、屋外又は常時湿潤状態となる場所(環境)において使用される構造用合板には特類の耐久性を有する接着剤が使用されます。

従って、バラバラになる合板は、水分や湿気の多い環境では剝がれてしまう接着剤を用いた合板です。

出典 : 日本合板工業組合連合会  資料「合板のはなし」合板の耐水性

つまり、構造用合板には、接着剤の接着耐久性によって以下の区分があります。

 

接着耐久性の区分用途 接着剤の主な種類
特類屋外又は常時湿潤状態となる場所(環境)において使用される構造用合板 フェノール樹脂
1類断続的に湿潤状態となる場所(環境)において使用する構造用合板メラミン樹脂
2類通常の室内環境で使用される家具用や造作用の合板ユリア樹脂

 

なお、1990年以前に軸組工法住宅に用いられた合板のほとんどは構造用合板ではないと推定されているそうです。

また現在国内で製造されている構造用合板は、ホルムアルデヒド放散量の規制の影響もあり、「特類」が中心となりつつあるそうです。

耐水合板というジャンルはない?

 

本記事は、「耐水性のある下地ボード(合板編)」というテーマで書いてきていますが、耐水性、合板というキーワードで思い浮かぶのは「耐水合板」という種類ではないでしょうか?

今回は、日本合板工業組合連合会のHPから「合板の耐水性」について調べています。

上記HPの資料「合板のはなし」には「合板の種類」という項目もあり、JAS規格 (日本農林規格) による合板の種類について整理されています。その種類を列記してみます。

・普通合板

・コンクリート型枠用合板

・構造用合板

・化粧ばり構造用合板

・天然木化粧合板

・特殊加工化粧合板

お気づきになりましたか? JAS規格には「耐水合板」という種類がありません。

ちなみに、国産合板の大部分は、合板の日本農林規格(JAS)によって製造されています。

では、「耐水合板」という種類は何にあたるのでしょうか? 外国産のうちある種類の合板を指す言葉でしょうか?

実は、上記で触れた「接着耐久性の区分」もJAS規格で、そのうち「特類」にこのような記載もあります。

建築基準法に関連する告示では屋外に面する壁または常時湿潤の状態となる恐れのある壁の場合、使用する構造用合板は特類に限るとされています。

「構造用合板」「特類」を含む告示

 

具体的にどの告示か調べてみましょう。

国土交通省の「告示・通達データベースシステム」でキーワードを「構造用合板」「特類」で検索すると次の5つがでてきました。構造用合板についての記載はいづれも、壁倍率、床倍率など構造耐力上主要な部分に使用する材料の品質を定める部分にでてきます。

 

告示番号対象構造用合板の区分
昭56国告1100号軸組と同等以上の耐力を有する軸組特類 or 1類
平13国告1540号枠組壁工法または木質プレハブ工法特類 or 1類
平13国告1541号枠組壁工法特類 or 1類
平18国告184号 耐震診断および耐震改修特類 or 1類 or 2類
平13国告1347号品確法の評価方法基準特類 or 1類

 

上の4つについては例外規定があり(部分)、「屋外に面する部分又は(常時)湿潤状態となるおそれのある部分に用いる場合は「特類」に限る。」との記載がありました。

耐水合板 = 構造用合板(特類)?

 

告示の内容をみてきましたが、告示はあくまで構造耐力にかかわる部分の品質についての記載で、合板の耐水性に定めたものではありませんが、「屋外に面する部分又は(常時)湿潤状態となるおそれのある部分に用いる場合は「特類」に限る。」と記載がありますので、「特類」であれば耐水性能上、問題なさそうだと捉えることができそうです。

よく在来工法で浴室をつくる場合の下地や、バルコニーの下地には、「 ”通称” 耐水合板 」を指定しますが、上記を踏まえると「構造用合板 (特類)」と指定すると具体的かつ適切な指定になると思います。

構造用合板(特類)の価格

 

ここまで「合板の耐水性」と具体的な製品について調べてきました。さいごに、価格について調べてみたいと思います。

価格について、公的な機関では以下が参考になります。

林野庁 / 合板価格調査結果(全国平均)

[調査年:平成23年]

(平均価格)

構造用合板 JAS製品(←区分不明) F☆☆☆☆  910×1820  国産

12mm厚 1090円/枚  =  658円/㎡

24mm厚 2195円/枚  =  1325円/㎡

構造用合板 JAS製品 F☆☆☆☆  910×1820  東南アジア産

12mm厚 1153円/枚  =  696円/㎡

一般社団法人 京都府木材組合連合会 / 京都府内産材 主要製材品標準価格表

[調査年:平成27年10月末日]

構造用合板 特類 F☆☆☆☆  等級:CD  910×1820 京都産

9mm厚  1300円/枚  =  784円/㎡

12mm厚 1500円/枚  =  905円/㎡

15mm厚 2000円/枚  =  1207円/㎡

24mm厚 3000円/枚  =  1811円/㎡

28mm厚 3500円/枚  =  2113円/㎡

前者は「JAS製品」とありますが「特類」かどうか不明なので、後者「京都府木材組合連合会」の価格表をもとに truss の下地ボード のグラフに赤の点で表示してみたいと思います。検索条件は「防水・耐水」で絞り込んだ状態とします。

 

[ これは 建材選択クラウド truss の下地ボードの検索画面です。]

 

一目瞭然ですね。

メーカー横断の建材選択クラウドtruss(トラス)

https://truss.co.jp/

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