【田川産業】MILIME(ミライム)開発への想い『学校や病院など抗菌の必要な広い建物で、漆喰を』 Kikuchi Mie

老舗メーカーの本格漆喰が、ローラー・吹付施工可能
コロナウイルスに対しても漆喰の抗菌性が有用~

 株式会社トラスの広報担当です。
 この度、広報部は建材検索サービス「truss」に掲載していただいている建材メーカー各社の素敵な商品を、取材形式でピックアップしていく企画を展開していくことになりました。第一弾は【田川産業株式会社】さんです!

 100年続く漆喰(しっくい)メーカーの田川産業株式会社さんより、ローラー・吹付での施工が可能になった漆喰商品『MILIME(ミライム)』がスゴイ!というお話を伺い、トラス広報部がさっそくその商品についてインタビューさせていただきました。

 田川産業株式会社の漆喰は大阪城をはじめ大分の宇佐神宮本殿など国宝・重要文化財の修復でも使われています。
 この『MILIME(ミライム)』海外ではすでに、施工実績をどんどん積んでいるそうです。
 インタビューに答えてくださったのは、『MILIME(ミライム)』販売元株式会社ミライムの代表取締役、製造元田川産業株式会社の常務取締役の行平史門氏です。

左から常務取締役 行平さん、営業部 岩田さん、開発部 横田さん 小原さん、営業本部長 松山さん、営業部 足立さん

ーはじめに、この『MILIME(ミライム)』の開発に至った経緯を教えてください!

最初は海外の職人さんでも、日本の漆喰を塗ってもらえるように、という目的でした。
もとから、田川産業としては左官仕上げ用の伝統的な漆喰『城かべ』を海外輸出していたんですが、日本と海外の職人さんでは左官仕上げの技術が全然違って、施工の面でハードルが高かったんです。
日本の漆喰の押さえというのは、乾き具合を均一にしてコテを通していくので、まっ平らで綺麗な肌のそろった壁になります。海外は違って、例えばヨーロッパであれば石材文化なので、ムラをわざと出して石っぽさを出したりするんです。こうして技術の発展の仕方が違う中で、海外の職人さんでも、日本の漆喰を塗ってもらえるように、ということでローラーや吹付で施工できるように改良したというのが開発の経緯です。

ー開発するにあたり、どんな苦労や試行錯誤があったのでしょうか?

 【本格漆喰】を単純にローラー施工すると施工性が非常に落ちてしまうので、施工性能を上げるという事が一番苦労した点ですね。結構アナログですが、海外のパートナーの職人さんの『もっとこういう感じがいい』というオーダーに合わせて開発していきました。ですが、日本と海外の職人さんはそもそも根本的な技術の方向性が違うので、ニュアンスが100%伝わらないんです。 現地の職人さんたちの技術に合わせて、材料を開発しないと100点の製品にはならないというところは難しいですよね。我々が作っている商品は、出荷の状態では50点で職人さんたちの施工の技術が組み合わさってやっと100点になる、半製品なんです。
 ですから実際に現地に行って、施工する様子を見て、海外の職人さんの特徴に合わせて材料を組み合わせて開発していくということをしていきました。現地に行って職人さんたちと話したり、海外の職人さんたちに日本の我々の工場に来てもらって、施工の講習会を開いたりしました。

工場の写真

工場内の写真

工場内の写真

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MILIME(ミライム)』の魅力は!

 本来しっくいが持つ機能である、【調湿、消臭、抗菌、不燃、防かび】等の機能を維持しながら、ローラーや吹付で簡易的に施工できるようになった点です。
 また、国際基準であるISO21702の抗菌試験でコロナウイルス(FelineCoronaVirus)を用いた試験を行い、抗菌性能を担保している製品となっています。(※新型コロナウイルスと同系統の”FelineCoronavirus strain Munich”を使用した試験)
 『MILIME(ミライム)』を塗ったサンプルピースにコロナウイルスを塗り広げて時間経過ごとのウイルスの活性値を調べると、一時間で90%以上、二時間で95%以上のウイルスが不活性化したというデータが採れたんです。実際施工されたあとの漆喰が、抗菌材以上に効果があるということがわかります。漆喰の原料である消石灰がもともとPH12.5などの強アルカリです。キッチンハイターやドメストも強アルカリですね。消石灰は鳥インフルエンザなどで出た死骸などにも撒かれているくらいなので、抗菌性が高いんです。そして、これが消石灰から漆喰が壁になるメカニズムなのですが【下図】

 壁に塗られるときには、空気中の二酸化炭素を吸収して硬化するんです。
 SDGsの考え方やカーボンニュートラルを求められる昨今の時世として、二酸化炭素をもう一回吸着して硬化する建材というのは、非常に二酸化炭素の削減面でプラスですよね。大型物件を施工していくにあたり、そういった考え方は基準の一つになると思います。欧米発の環境認証『C2C(Cradle to Cradle:ゆりかごからゆりかごへ)』という認証がありまして、使い終わったら廃棄するのではなく再利用するという概念なんです。漆喰は元が石灰なので、はがした後の漆喰は畑に撒くことすらできるんです。土に返すことができる。田川産業はこの認証を得ています。

ー工期や工費は、左官仕上げとくらべてどれくらい違うんでしょうか?

 工期は、例えば朝一に下塗り、昼前にミライム一回目を施工、三時ごろミライム二回目を施工すると一日で終わります。もちろん湿気の多い時期は変わってきますが、乾燥条件が良ければ二~三時間で乾くので。石膏ボード上に施工する場合、左官仕上げだと下塗りが1mm程あって仕上げが2mm近く、MILIMEに比べて厚塗りになるので乾燥時間、工期がどうしても長くなってしまいます。
 施工して現場を三日くらいあけて1mmの下地が乾き、仕上げ塗りに入って・・・となるので一週間くらいはかかってしまいますね。
 工費に関しては、左官職人さんたちによりますが大体5000円/㎡くらいで、MILIME(ミライム)』はその半分の価格くらいですね。

工場内の写真

ー仕上がりは左官仕上げと比べてどうなんでしょうか?

左官仕上げの場合は、コテ押さえでつるつるにしたり、デザインが上手な職人さんであればパターン仕上げなどが出来ます。一方MILIMEは、ローラーや吹付での仕上げとなるので、一般的な塗装と似たようなゆず肌の仕上がりになります

ミライム実際の施工面

ー海外向けに開発されたMILIME(ミライム)』ですが、日本で正式に販売していく理由は?

 漆喰の機能や魅力の裾野を広げたいと思っています。色々な施工ができる漆喰が普及していくことで魅力も広まり、左官仕上げの漆喰壁の良さが今より認知されたらいいなと。
 日本の漆喰の普及率って、あまり高くないんです。家を建てるときに選択肢にすら上がってこないという現状なのであれば、メーカーとしては漆喰の裾野を広げないといけないですよね。左官仕上げの漆喰というのは、均一で本当に美しいんですけど、その一択じゃなくていろんな形で提供できれば、業界が大きくなってきます。
 当社の漆喰製品ラインナップでは、『MILIME(ミライム)』の他に、左官仕上げの『城かべ』、DIY用の『NURI2(ぬりぬり)』、タイル状の漆喰『LIMIX(ライミックス)』などがあります。漆喰に興味を持ってくれた方が、工期やコスト、施工方法などで断念する事がないよう、どのようなユーザー様のニーズに対してもワンストップで対応する事で、漆喰の裾野を広げていきたいと考えています。

 理想ですが、大型ホテルの壁を全部漆喰で仕上げたいというオーナーさんが居たときに、今のままでは工期が大変なことになります。左官職人さんは少ないですし、漆喰を塗るのは時間がかかるので。そのせいでホテルオーナーさんがやりたかったことが出来なくなることが考えられるわけです。でも、そういうときに「広い部屋や客室はローラーや吹付で仕上げましょう」と「エントランスの豪華な部分を左官さんが仕上げる美しい漆喰壁で!」ということができるようになります。床は左官でもローラーでもできないのでの『Limix(ライミックス)』のタイルを使えます。
 どういう仕上げ、施工方法であれ最終的に漆喰で塗られた空間は住む人の健康にも良く、地球環境にもとても優しいんです。日本国内でも、こうして漆喰の裾野を広げていこうと思っています。

MILIME(ミライム)』をどんな建物にオススメしますか?

 一般住宅はもとより、学校や病院、サ高住、幼稚園、公共施設など、不特定多数の人が集まり、かつ、子供や高齢者などを菌やウイルスから守る必要がある建物で使ってもらいたいですね!大面積の壁面の場合、工期や職人さんの手配の問題で漆喰の採用がむずかしいとされてた現場であっても、『MILIME(ミライム)』であればそれが可能になります。商品の抗菌性能はデータも取れていますし、環境的にも良いものです。また、イメージとして漆喰を採用するのは差別化をはかることにもなります。

ー田川産業として、これからの展望などありますか?

 漆喰をもっと使いやすく、施工しやすくするためにさらなる飛躍を目指して現在新製品の開発中です!漆喰ってものすごく歴史が長いんですけど今世の中でいわれていること、カーボンニュートラルや二酸化炭素の削減であったりとか、リサイクル、脱プラスチックや抗菌など、漆喰はこの課題を解決できる壁材なんです。漆喰の施工に関して普及がなかなか進まない理由があるなら、田川産業としてそこを解決して、漆喰の良さを広く知ってもらうことでシェアを伸ばしていきたいです。